フェルトを作るために羊毛の性質を知ろう!

フェルトは羊毛を絡ませることで生地をつくります。縮絨と呼ばれます。

「ヒツジで遊ぶ。羊毛で遊ぶ」にもどる


羊 毛の繊維はなぜ絡み合うのか

羊毛の外側は水を弾きますが、中は水分を吸収しやすい構造をしています。

一本いっぽんの羊毛は親水性の皮質細胞でできています。その表面は魚のうろこに似た表皮に覆われています。 このウロコ状の表皮はケラチン(角質)と呼ばれる、疎水性のタンパク質で構成されています。
(このケラチンは人間の皮膚の角質層、爪、毛髪に含まれる物 質です。弱い 還元剤が作用するとその分子は滑りやすくなるので、その段階で形を整えて酸化剤を働かせると、形がセットされます。余談ですが、人の頭髪にかけるパーマは それを応用したものです。また、工場で羊毛を防縮加工する時は塩素系化学薬剤でケラチンを分解して取り除いたり、合成樹脂でケラチンの上をコートして動か ないようにしています。)

羊毛の表面にあるウロコ同士を引っ掛けあうと、繊維がよく絡みます。繊維は縮れて絡み合うと、出来上がる生地は最初の面積よりも縮みま す。縮絨 と呼ばれる現象です。

 それを熱や水分、圧力や摩擦でわざと縮絨を行い、形をつくった製品がハンドメイドフェルトです。

フェルトを作る時には、お湯と石けんを使います。これは温かいお湯にひたすことで引き締まったスケールを弛めてやる、という作業を行っている ことになります。石けんのぬるぬるで繊維を滑らせ、絡み合わせます。石けんの成分を洗い流して温度を下げるとスケールが縮み、繊維も縮んでしっかりと形が セットされます。

どのぐらいの水温が 必要か

フェルトを作るのには冷たい水でも大丈夫、と言われることもありますが、わ たしは40度から50度で繊維を弛めてやっています。それ以下の温度だと、繊維の細い種類の羊毛ではそこそこ縮絨出来ますが、バネが強い種類、つまり繊維 が太く硬い種類だとフェルト化に時間がかかり、苦労します。沸点に近い温度だとケラチンが煮えてしまいます。

(よくよく考えると、羊の体温は38.3-39.9度です。 実際に羊の首の辺りを触る と「ん?熱っぽいかな?」という体温をしています。人間に比べ汗腺が 少ないので、羊は汗はほとんどかかないのですが、雨の中でも平気で草を食べています。ですから、冷 たい水−雨が降る度に、生えている自分自身の毛がフェルト化してしまうと、羊にとって非常に都合が 悪いことになりますよね。)

どんな洗剤がいいの か

洗剤を少し入れると、その界面活性作用で繊維同士が滑り、繊維が絡みやすくなります (た だし入れ過ぎると、かえって滑り過ぎてしまいます)。
また、羊毛の表面は疎水性のケラチン(角質)というタンパク質で覆われています。弾力性があり、アルカリ性物質 により膨潤し軟化します。つま り、角質の結びつきを弛めてやると繊維同士が引っかかり、より絡みやすくなります。

その性質を利用するのが石けん水です。石けんはアルカリ性の性質を持ち、すすぐ段階でアルカリ性が消えると、界面活性能がなくなります。

合成洗剤はよりアルカリ性が強く、界面活性作用で繊維が絡むことに加えて、ケラチンの結びつきをさらに弛めスケールがけば立つので繊維同士が引っかかりや すくなります。

使用する時には石けん、合成洗剤どちらでもいいのですが、合成洗剤の方が若干縮絨の時間が早くなります。より短時間でフェルトを作りたい時には台所洗剤が 適していると言われる由縁はそこにあります。繊維を絡ませたあとにはすすいで形をセットしなければいけないので、泡切れの良いものをわたしは使用していま す。もちろん、石けんを使用してはいけない、と言うわけではありません。

それよりも、全くおすすめできないのが「手肌をいたわる保湿成分入り」と書かれたシャンプーや洗剤の使用です。

これらの洗剤には角質保護成分−羊毛のケラチンに膜を作るもの−が含まれているものもあるので、効果が弱いものがあります。

また、そういった洗剤にはよい匂いをさせるために香料を練り込んでいるものが多くあります。一般的に香料は水分よりも油脂に吸着する性質があります。です から、石けん水に含まれた香料が羊毛自体、または羊毛に付着しているラノリン油に吸着し、羊毛に匂いがついてしまうこともあります。
(1/17/2004 by Yah)

return to the toppagetopへ戻ります。

Copyright 2004 Zebra. all right reserved.
無断転載および無断引用はご遠慮くださいな。