Feltwork ZEBRA:ニードルフェルトと羊毛のクラフト
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羊毛とフェルト:羊毛を洗おう!

毛刈り後の羊毛は汚れています。

使える状態にするまでには数回の行程があります。もちろん、羊毛の種類や使い方によってはそれが変わることもあります。2004年5月に洗ったときの手順を公開しておきます。実を言うと、これは自分が洗うための備忘録なんですが、参考にしていただければ幸いです。何度もなんどもいろんなやり方を試して、自分にあった作業手順、自分の好きな作品にあった作業手順を作ってください。

作業手順

羊毛を洗うには、これだけの作業があります。5つだけです。そう考えると、結構簡単ですね。

  • スカーティングをする
  • ソーティングをする
  • 洗液につける
  • すすぐ
  • 干す

準備しよう!

スカーディングとソーティング

  • 風のない天気
  • 羊毛を広げる広い場所
  • 新聞紙(2丁くらい)
  • 大きなゴミ袋
  • 羊毛用の洗濯ネット(特大:1頭分だと必要なのは最低5枚)
  • 木綿の布(手の平大くらい):数枚
  • 油性ペン
  • 大きな段ボール(羊毛の保管用)
  • ビニールシート(新聞紙で十分代用できます)
  • 小さい椅子(時々座ることができるとと 嬉しい)

洗毛

  • 大 きな洗い桶
  • 石鹸を溶かしたり、水を汲んだりするバケツ
  • ゴム手袋
  • 羊毛用の石鹸(モノゲンという専用の石鹸を今回は使いました)
  • 温度計(洗液の温度を計るため)
  • ぞうきん(何かと便利)
  • セーターを乾かすための大きなネット(100円ショップで買いました)
  • 長い棒
  • お風呂用のシューズ(水がはねるので結構便利)

スカーディング(ごみ取り)

毛刈りされた原毛は、まるで一枚の毛皮のように三つ折りにされ、頭の方から丸められています。ビニールシートに新聞紙を広げて、その上に広げます。
手前が首の部分、後方がお尻の部分。

どこで見分けるか

しばらく見ていると、どの辺の毛が羊の体に生えていたか、見えてきます。わたしは首の部分をまず見つけてから、他の部分を探します。

  • 首(羊は餌箱に頭を突っ込んで食べています。なので、衿に当たる部分が輪っかのように擦れて短くなっています。そこより先の毛が首。)
  • 肩(縮れ毛も長さがそろっている、すばらしい部位)
  • 脇(ここもあんまり汚れていない)
  • 後ろ足(ちょっと太めの毛で、ごわごわしている)
  • お腹(地面に直接座っているからゴミもあるし、くっついてカピカピしている。
  • 背中(どこかをくぐっているらしいので、ちょっと擦れている)
  • お尻(汚れて固まっている。)

羊毛のどこを見るか

例えば、肩の毛はこんな感じです。

一方、お腹の毛はこんな感じ。固まってごわごわです。


汚れのひどいお腹とお尻の部分から、ふん尿でカピカピになった、汚れのとれそうにない部分を取り除きます。大きなゴミや毛の中に潜った糞なんかも探して除きます。時間をかけてなるべく丹念に探します。

無理をしないで、自分が使いたい場所を探してみるのもいいと思います。

ソーティング(選り分け)

羊毛を分けてみます。
「ここから分けるように」なんて点線が…もちろんついていません。大雑把です。肩の部分は編み物用、太い部分はバッグなんかにいいなぁ、などと考えながら分けます。
インターネットできれいな図解をよく見かけますが、実際は正確にはわけられません。この羊はお腹のやや右側から開いてありました。
部分ごとに、洗濯ネットに羊毛をいれます。
わたしはこのまま洗うので、後からどの毛かわかるように、木綿布にマジックでどこの部分かを書いて一緒に入れておきます。

ソーティング中に短い毛も見つける

分けているとごく短い毛が見つかります。
これは2度刈りの後です。羊が暴れたか、引っかかったかで同じ部分を刈ってしまったものです。

紡ぎ用には向かないんですが、これはこれで別にして、針刺しの中などに入れることも出来ます。

袋詰めしたら重さを量り、1段落。道具の準備も含め、わたしはここまでで2時間くらいかけています。

洗液を作ろう!

わたしの家の近所には幸い羊毛を洗う施設があって、大きな鍋などがそろっているため、 一度に羊毛を洗うことが出来ます。もし大きな鍋がない場合は、羊毛を段ボールなどに保管し、小分けにして洗いましょう。
長期保管の場合、時間が経つと羊毛に吸着した油がどんどん酸化し臭くなりますので、わたしならまず洗ってから保管しています。わたしのいるエリアでは乾燥しているのでかびることはまずないのですが、それでも段ボールに入れています。

1回の洗浄につき羊毛の重さの5~10%の重さの石鹸が必要です。羊毛1kgにたいし、50~100gの石鹸です。

今回はちょっと高めの、50度くらいのお湯で洗いました。
写真の鍋はステンレスで、ものすごく大きなものです。
これにはまるまる1頭分の羊毛が入ります。
お湯の温度は温度計で測りましたが、手を突っ込んで熱めのお風呂、と考えた方がいいかもしれません。今回はコリデールという油分の多い羊毛なので温度も高め、洗う回数も多くしています。石けん液を作ったら鍋に空けて、よくかき混ぜると洗液が出来ます。

つけ置き洗いをしよう!

羊毛をネットに入れたまま鍋に突っ込み、棒で静かに沈めます。
羊毛に付着している油分は、ラノリンという水溶性のものなので、お湯につけるとどんどん溶けます。

かき混ぜると羊毛がフェルト化してしまうので、基本、押し洗いです。
鍋の温度が人肌くらいになるまでおとなしく待ちます。

数時間経つと、汚れがしみ出し水が濁っています。
右のように、すごい色です。
一度取り出して押すように軽く水を切り、新しい洗液を作り直して、もう一度浸けます。今回は石けんの量は半分にしています。
汚れの固まりがネットの上から目立つのもこの時間。グチャグチャ握ったり、ゴシゴシこすると羊毛がフェルトになってしまうので、そっとネットの口を開けて 汚れの固まりを取り出し、洗浄液の中でゆらゆらと毛を動かして洗います。

すすごう!

揉まないように気をつけながら、何度も水を替えて軽く押すようにすすぎます。
水が透明になればそろそろ大丈夫。

洗濯機の脱水槽に突っ 込んで、数分まわして水気を切ります。ない場合は、軽く押すように絞りしょう。羊毛を絡ませないのがポイントです。

干そう!

干す場所は直射日光の当たらない、風通しの良い場所。
セーターを干すための、釣り下げるタイプのネットを使っています。このまま、すっかり乾くまで待ちます。

 

洗い上がりは真っ白で、ふわふわです。縮れ毛もそのまま。
毛先は痛んでいるため若干茶色ですが、カードをかけると真っ白になります。
おわかりのとおり、細かいゴミはまだまだ残っています。わたしはカードがけの段階でゴミを落としていますし、製品の仕上げの段 階でもう一度洗っています。