Feltwork ZEBRA:ニードルフェルトと羊毛のクラフト

Feltwork ZEBRAは北海道・十勝にある小さな羊毛工房です。

ヒツジの毛を染めたり、紡いだり、フェルトにしたりしています。

ニードルフェルトの小さな動物やオーナメントの教室を開催しています。2時間から4時間くらいでオーナメントを作ります。お気軽にお問い合わせください。

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Feltwork ZEBRA 連絡先

::::連絡先::::

Feltwork ZEBRAは北海道帯広市にある、1部屋しかない小さな工房です。

お問い合わせはまで。

インターネット電話です。PCの近くにいないときには留守電サービスになっています。
英語で5秒くらいメッセージが流れるので、その後にメッセージをどうぞ。
または、メールボックスまでおねがいします。

作品について

わたしは2003年頃から本格的に羊毛作業をはじめました。最初は手探り状態。 「過程を楽しむ」ということを念頭に試行錯誤してましたが、それでも出来上がったものはかわいかったりします。

ここにあげているのは一部の初期の作品です。最新の作品はこちらからご覧ください。Click Here!

最新作品アルバム(別ウインドウ)

フェルトの作品

ウォッシュタイプのフェルトで、10,000円よりオーダーで承っています。

ニードルフェルトのドール。非売品です。

北海道の動物。オーダーで時々作ります。

ニードルフェルトの教室で、季節にあわせていろいろな物を作っています。

たいていは身長8~9cmくらいなんですが、もっと小さいのもいます。

ルームシューズや携帯ケースなど。

定期的に行っています。

作品展の期間中には、体験で講習会も行います。

また、単発で作品を展示しているときもあります。

  • スピナーズファームタナカ:ゴールデンウィークの3日間をお借りして行っています。 Google地図

  • 十勝窯表参道ギャラリー展:11月に画廊スペースをお借りして1ヶ月飾らせていただいています。Google地図

教室と作品展の予定はカレンダーでご確認ください。

販売、サンプルを見られるお店

ZEBRAで作成し、このサイトで紹介している
ふぇるぐるみやフェルト作品、キットは実際に手に取ってみることも出来ます。

スピナーズ ファーム・タナカ

083-0002
北海道中川郡池田町清見164番地(池田高校向い)TEL/FAX: 01557-2-2848

北海道池田のワイン城や清美温泉の観光スポット近 くにある、羊毛の契約販売の牧場および店舗です。ショップにはクラフト作家による羊毛クラフトがいっぱい置いてあります。
ジャコブ、シェットランド、マンクロフスタンなどの希少種の羊がここにはたくさん飼われています。
一頭一頭に名前が付いた、人なつこい羊たちがお迎えしてくれます。糸紡ぎやフェルトワークなどの羊毛の体験加工ができます(要予約)。

ニードルフェルトの定期教室

針をさくさく刺すだけで、柔らかいお人形が出来上がります。道具も材料も用意しておりますので、手ぶ らできて、帰りにはかわいいお人形をつれて帰って下さい。ー

月代わりで季節の風物に合ったテーマを決めていただきます。見本は前月ご案内していますが、自分の好 きな色を選べるところがポイントです。

過去に行った講習内容のお人形を作りたい、という方は こちらのメールボックスまで お問い合わせください。別途単発講習のご相談をさせていただきます。

10人-20人程度のご会合で2時間程度で何か作りたいときは別途お問い合わせください。サンプル写真の書類PDFはこちらです。お気軽にお問い合わせください。

過去に行った講習の様子は、 こちらのウェブログでも見ることができます。

 

生きた羊はいませんが、とてもきれいな教室です。生協会員になる必要があります。駐車場有。

コープさっぽろ文化教室帯広ベルデ文化教室

場所:帯広市西17条南4丁目8-6
お問い合わせ・申し込み先:コープさっぽろ文化教室帯広ベルデ文化教室事務局(受付は10:00-17:00)
Tel 0155-66-4072

帯広の方はわたしの自宅ですが、予約制で受けています。2時間1600円、4時間で2500円。人数が少ない分、ゆったりと作ることができます。お一人でもかま いません。

"○○がつくりたい"と言う方は、遠慮なくリクエストどうぞ。ご自宅のわんちゃんなどは写真などをご用意ください。

お一人からでもお受けしています。少人数でも平気な方はどうぞ お問い合わせ下さい

教室カレンダー

ニードル・フェルト単発講習のご案内

10人-20人程度のご会合で単発で何かを習いたい方たちのために、2-3時間程度で小さなものが1個出来る講習のプログラムをご用意しています。お母さんたちや町内会のイベントに是非呼んで下さい。十勝管内でしたら喜んで伺います。

道具も材料も用意しておりますので、手ぶらできて、帰りにはかわいいオーナメントをつれて帰って下さい。

お一人様1600円前後(道具レンタル、材料費込み)です。お気軽にお問い合わせください。

インターネット電話です。

メールでのお問い合わせはこちらです。

2-3時間程度でできるサンプルです。

10cmくらいの高さのものが1個できます。
他に羊やひよこなどもあります。
「○◯が作りたい」のリクエストも受けております。

配布用のリストをPDFでご用意しました(別ウインドウで開きます)。
印刷して皆様でご検討ください。

羊毛とフェルト:固い話だけど。

羊毛の性質を知ろう!

羊毛の繊維はなぜ絡み合うのか

羊毛の外側は水を弾きますが、中は水分を吸収しやすい構造をしています。

一本いっぽんの羊毛は親水性の皮質細胞でできています。その表面は魚のうろこに似た表皮に覆われています。 このウロコ状の表皮はケラチン(角質)と呼ばれる、疎水性のタンパク質で構成されています。
(このケラチンは人間の皮膚の角質層、爪、毛髪に含まれる物 質です。弱い 還元剤が作用するとその分子は滑りやすくなるので、その段階で形を整えて酸化剤を働かせると、形がセットされます。余談ですが、人の頭髪にかけるパーマは それを応用したものです。また、工場で羊毛を防縮加工する時は塩素系化学薬剤でケラチンを分解して取り除いたり、合成樹脂でケラチンの上をコートして動か ないようにしています。)

羊毛の表面にあるウロコ同士を引っ掛けあうと、繊維がよく絡みます。繊維は縮れて絡み合うと、出来上がる生地は最初の面積よりも縮みま す。縮絨 と呼ばれる現象です。

それを熱や水分、圧力や摩擦でわざと縮絨を行い、形をつくった製品がハンドメイドフェルトです。

フェルトを作る時には、お湯と石けんを使います。これは温かいお湯にひたすことで引き締まったスケールを弛めてやる、という作業を行っている ことになります。石けんのぬるぬるで繊維を滑らせ、絡み合わせます。石けんの成分を洗い流して温度を下げるとスケールが縮み、繊維も縮んでしっかりと形が セットされます。

どのぐらいの水温が必要か

フェルトを作るのには冷たい水でも大丈夫、と言われることもありますが、わ たしは40度から50度で繊維を弛めてやっています。それ以下の温度だと、繊維の細い種類の羊毛ではそこそこ縮絨出来ますが、バネが強い種類、つまり繊維 が太く硬い種類だとフェルト化に時間がかかり、苦労します。沸点に近い温度だとケラチンが煮えてしまいます。

(羊の体温は38.3-39.9度です。 実際に羊の首の辺りを触る と「ん?熱っぽいかな?」という体温をしています。人間に比べ汗腺が 少ないので、羊は汗はほとんどかかないのですが、雨の中でも平気で草を食べています。ですから、冷たい水-雨が降る度に、生えている自分自身の毛がフェルト化してしまうと、羊にとって非常に都合が悪いことになりますよね。)

どんな洗剤がいいのか

洗剤を少し入れると、その界面活性作用で繊維同士が滑り、繊維が絡みやすくなります (た だし入れ過ぎると、かえって滑り過ぎてしまいます)。
また、羊毛の表面は疎水性のケラチン(角質)というタンパク質で覆われています。弾力性があり、アルカリ性物質 により膨潤し軟化します。つま り、角質の結びつきを弛めてやると繊維同士が引っかかり、より絡みやすくなります。

その性質を利用するのが石けん水です。石けんはアルカリ性の性質を持ち、すすぐ段階でアルカリ性が消えると、界面活性能がなくなります。

合成洗剤はよりアルカリ性が強く、界面活性作用で繊維が絡むことに加えて、ケラチンの結びつきをさらに弛めスケールがけば立つので繊維同士が引っかかりやすくなります。

使用する時には石けん、合成洗剤どちらでもいいのですが、合成洗剤の方が若干縮絨の時間が早くなります。より短時間でフェルトを作りたい時には台所洗剤が適していると言われる由縁はそこにあります。繊維を絡ませたあとにはすすいで形をセットしなければいけないので、泡切れの良いものをわたしは使用していま す。もちろん、石けんを使用してはいけない、と言うわけではありません

羊毛とフェルト:羊毛加工作業

羊毛を入れたら製品が出てくるブラックボックスはこの世には存在しないみたいです。羊一頭分の羊毛を手に入れると、そのあとこれだけの作業があります。
大変そうに見えますが、ゆっくりやれば、大丈夫。

人によって、いろんな手順があります。何度もなんどもいろんなやり方を試して、自分にあった作業手順、自分の好きな作品にあった作業手順があります。

正解は、ない。

作業手順

羊毛を広げて、まずは大きなゴミ、排泄物など、使えない部分を取り除きます。

種類にもよりますが、体の部分により、生えている毛の種類が違うことがあります。そこで、使い方にもよって羊毛を部分に分けることもあります。固い/柔らかい/短い/長いなどです。

洗う

洗剤でゆっくり、フェルトに固まらないように洗います。

下の手順のカード機にかけてから染めたり、糸や織物にしてから染めたりもします。

いろんなカード機があります。写真はドラムカードという大きな機械です。ハンドカードでゆっくりほぐすこともできます。

 

これでやっと、セーターにしたり、製品にしたりできます。これは染めた後の毛で、ほぼ羊一頭分。カードにかける前の毛です。

スカーディングの写真と比べてみてください。

セーターやマフラーに編んだり、ウールの織物を編んだりする時間についてはまた別の話で、ものすごく時間がかかります。2003年は草木を探したり、道具をそろえたりしながら、ほぼ2ヶ月かけてここまでの作業をしています。

ある程度は予測していましたが、こんなに手間だとは思いませんでした。羊毛を洗ったり、染色したり、カードをかけたりするのはかなりの重労働。カード機を 除いて、全部手作業です。端から見たら、本当に効率悪いし、これでいいものができるかどうかもまた別の話です。

多分、楽しいから、ということで。

羊毛とフェルト:羊毛を洗おう!

毛刈り後の羊毛は汚れています。

使える状態にするまでには数回の行程があります。もちろん、羊毛の種類や使い方によってはそれが変わることもあります。2004年5月に洗ったときの手順を公開しておきます。実を言うと、これは自分が洗うための備忘録なんですが、参考にしていただければ幸いです。何度もなんどもいろんなやり方を試して、自分にあった作業手順、自分の好きな作品にあった作業手順を作ってください。

作業手順

羊毛を洗うには、これだけの作業があります。5つだけです。そう考えると、結構簡単ですね。

  • スカーティングをする
  • ソーティングをする
  • 洗液につける
  • すすぐ
  • 干す

スカーディングとソーティング

  • 風のない天気
  • 羊毛を広げる広い場所
  • 新聞紙(2丁くらい)
  • 大きなゴミ袋
  • 羊毛用の洗濯ネット(特大:1頭分だと必要なのは最低5枚)
  • 木綿の布(手の平大くらい):数枚
  • 油性ペン
  • 大きな段ボール(羊毛の保管用)
  • ビニールシート(新聞紙で十分代用できます)
  • 小さい椅子(時々座ることができるとと 嬉しい)

洗毛

  • 大 きな洗い桶
  • 石鹸を溶かしたり、水を汲んだりするバケツ
  • ゴム手袋
  • 羊毛用の石鹸(モノゲンという専用の石鹸を今回は使いました)
  • 温度計(洗液の温度を計るため)
  • ぞうきん(何かと便利)
  • セーターを乾かすための大きなネット(100円ショップで買いました)
  • 長い棒
  • お風呂用のシューズ(水がはねるので結構便利)

毛刈りされた原毛は、まるで一枚の毛皮のように三つ折りにされ、頭の方から丸められています。ビニールシートに新聞紙を広げて、その上に広げます。
手前が首の部分、後方がお尻の部分。

しばらく見ていると、どの辺の毛が羊の体に生えていたか、見えてきます。わたしは首の部分をまず見つけてから、他の部分を探します。

  • 首(羊は餌箱に頭を突っ込んで食べています。なので、衿に当たる部分が輪っかのように擦れて短くなっています。そこより先の毛が首。)
  • 肩(縮れ毛も長さがそろっている、すばらしい部位)
  • 脇(ここもあんまり汚れていない)
  • 後ろ足(ちょっと太めの毛で、ごわごわしている)
  • お腹(地面に直接座っているからゴミもあるし、くっついてカピカピしている。
  • 背中(どこかをくぐっているらしいので、ちょっと擦れている)
  • お尻(汚れて固まっている。)

例えば、肩の毛はこんな感じです。

一方、お腹の毛はこんな感じ。固まってごわごわです。


汚れのひどいお腹とお尻の部分から、ふん尿でカピカピになった、汚れのとれそうにない部分を取り除きます。大きなゴミや毛の中に潜った糞なんかも探して除きます。時間をかけてなるべく丹念に探します。

無理をしないで、自分が使いたい場所を探してみるのもいいと思います。

羊毛を分けてみます。
「ここから分けるように」なんて点線が…もちろんついていません。大雑把です。肩の部分は編み物用、太い部分はバッグなんかにいいなぁ、などと考えながら分けます。
インターネットできれいな図解をよく見かけますが、実際は正確にはわけられません。この羊はお腹のやや右側から開いてありました。
部分ごとに、洗濯ネットに羊毛をいれます。
わたしはこのまま洗うので、後からどの毛かわかるように、木綿布にマジックでどこの部分かを書いて一緒に入れておきます。

分けているとごく短い毛が見つかります。
これは2度刈りの後です。羊が暴れたか、引っかかったかで同じ部分を刈ってしまったものです。

紡ぎ用には向かないんですが、これはこれで別にして、針刺しの中などに入れることも出来ます。

袋詰めしたら重さを量り、1段落。道具の準備も含め、わたしはここまでで2時間くらいかけています。

分けているとごく短い毛が見つかります。

わたしの家の近所には幸い羊毛を洗う施設があって、大きな鍋などがそろっているため、 一度に羊毛を洗うことが出来ます。もし大きな鍋がない場合は、羊毛を段ボールなどに保管し、小分けにして洗いましょう。
長期保管の場合、時間が経つと羊毛に吸着した油がどんどん酸化し臭くなりますので、わたしならまず洗ってから保管しています。わたしのいるエリアでは乾燥しているのでかびることはまずないのですが、それでも段ボールに入れています。

1回の洗浄につき羊毛の重さの5~10%の重さの石鹸が必要です。羊毛1kgにたいし、50~100gの石鹸です。

今回はちょっと高めの、50度くらいのお湯で洗いました。
写真の鍋はステンレスで、ものすごく大きなものです。
これにはまるまる1頭分の羊毛が入ります。
お湯の温度は温度計で測りましたが、手を突っ込んで熱めのお風呂、と考えた方がいいかもしれません。今回はコリデールという油分の多い羊毛なので温度も高め、洗う回数も多くしています。石けん液を作ったら鍋に空けて、よくかき混ぜると洗液が出来ます。

羊毛をネットに入れたまま鍋に突っ込み、棒で静かに沈めます。
羊毛に付着している油分は、ラノリンという水溶性のものなので、お湯につけるとどんどん溶けます。

かき混ぜると羊毛がフェルト化してしまうので、基本、押し洗いです。
鍋の温度が人肌くらいになるまでおとなしく待ちます。

数時間経つと、汚れがしみ出し水が濁っています。
右のように、すごい色です。
一度取り出して押すように軽く水を切り、新しい洗液を作り直して、もう一度浸けます。今回は石けんの量は半分にしています。
汚れの固まりがネットの上から目立つのもこの時間。グチャグチャ握ったり、ゴシゴシこすると羊毛がフェルトになってしまうので、そっとネットの口を開けて 汚れの固まりを取り出し、洗浄液の中でゆらゆらと毛を動かして洗います。

揉まないように気をつけながら、何度も水を替えて軽く押すようにすすぎます。
水が透明になればそろそろ大丈夫。

洗濯機の脱水槽に突っ 込んで、数分まわして水気を切ります。ない場合は、軽く押すように絞りしょう。羊毛を絡ませないのがポイントです。

干す場所は直射日光の当たらない、風通しの良い場所。
セーターを干すための、釣り下げるタイプのネットを使っています。このまま、すっかり乾くまで待ちます。

洗い上がりは真っ白で、ふわふわです。縮れ毛もそのまま。
毛先は痛んでいるため若干茶色ですが、カードをかけると真っ白になります。
おわかりのとおり、細かいゴミはまだまだ残っています。わたしはカードがけの段階でゴミを落としていますし、製品の仕上げの段 階でもう一度洗っています。

フェルトについて

織ってはいませんが、織物です。

フェルトと聞くと、手芸品店で1枚数十円で売られている、カラフルな四角くくて厚めの布を想像される方が多いと思います。

フェルトペンの先、ホワイトボード用のイレーサー、お習字の時に半紙の下にひく下敷き、靴や絨毯の中敷きなど、いろんなところに使われています。

心ならずもフェルトを作ってしまったことがある人は多いはずです。
セーターをうっかり洗濯機に放り込んで縮ませてしまったことはないでしょうか。
今では縮んでしまったセーターを一度ほどいて編み直す人はあまりいないでしょうが、もしほどくとしたら、縮み過ぎてしまったものをほどくのは一苦労なことがわかります。繊維同士が頑固にくっついて、まったくほどけない。無理に引っ張るとぷちっときれてしまったり。

そんな状態を、フェルト化といいます。

つまり、フェルトは、羊毛の繊維に水分と熱、圧縮をかけ、繊維同士をからませてつくります。
現在目にできる製品の大半が機械でプレス加工されているものですが、フェルトは羊毛でできている、ウール製品です。縦糸に横糸をくぐらせる、いわゆる織物には見えないのですが、繊維をからませると言う意味では立派な織物です。

**布にもなりますが、もっと他の形にもなります。**

羊毛の繊維は、生きています。暖かいお風呂に入れてやると気持ちよくなって伸び、冷めると縮む。フェルトはそんな羊毛の性質を利用しています。 縦糸と横糸を必要としないため、布だけではなく、様々な立体形を作ることが容易にできます。

布地は平面に織られているため、バッグなどを作る時に裁断し、縫製する必要がありますが、フェルトの場合、簡単な形ならすぐにできます。

また、あらかじめ染めた羊毛を使うことで、模様をつけることができます。 もちろん、その後裁断したり、刺繍などの加工することもできます。

フェルトニードル(Felt Needle)を使おう!

フェルトニードルとは

本来は工業用機械にセットして使うもので、絨毯や靴の中敷、工業用のフェルトを作る為に使われています。

手芸用として単品で大手の手芸用品会社から小売り販売されるようになりました。

ちくちくさすだけで、簡単にフェルトのオーナメントができます。

長さは5、6センチ、糸を通すような針穴はありません。
左側にだんだん針先が細くなっていますが、その針の横に数カ所溝が入っています。

海外では針の長さや太さ、輪切りにした時の形状、ミゾの入れ方が違うものがいろいろ売られています。

フェルトニードルには、針の横部分にかすかな溝がついています。

針を羊毛に突き刺し上下に動かすと、溝に繊維がひっかかったり外れたりして次第に繊維が絡み合い、徐々に繊維の密度が濃くなり、フェルトになっていきます。

フェルトは羊毛繊維自体が持っている温度や水分を与えた時に縮絨する性質を利用して、繊維同士を絡ませて作るものですが、それを針で行っているのです。

ZEBRAのおすすめ

  • 折れやすいので、2本まとめて使うことをおすすめします。
    本来は機械にはめて「上下に動かす」ことしかし ない前提で製作されているものですので、人間が手で持って斜めに繊維を突き刺したり、引っ掛けて繊維を引き寄せたりすると、溝の部分からポキッと折れてし まいます。
    上写真の中央に示したようにセロテープで根元と真ん中の部分をとめてやるだけで、強度がましてより使いやすくなります。
  • 下に必ずニードルフェルト用のマットを敷いて使いましょう。
    フェルトニードルは普通の針と違い、もろくできています。
    下に硬いものがあると折れや すいので、フェルトにしたいものの下にスポンジなどのマットを敷いて使います。

本来フェルトニードルは機械にセットして使うものです。 手で持つようにはできていません。

柄をつけたものも市販されていますので、それを購入されてもいいかもしれません。

基本的には折れやすい消耗品なので、
普通の針を持つように、つまむように持つと力加減が難しく、鉛筆を持つように中指に針を添え、根元の曲がった部分を人さし指に添えるとわりと自由に動きます。

ニードルで作るフェルトは粘土と同じ感覚で簡単に形を作 ることが出来ます。
ですが、針先は大変鋭く出来ていますし、針の横腹部分には溝が刻まれているので、誤って手をさ した場合は危険です。
作品を手で持って刺している教室もありますが、ZEBRAでは必ず刺したい部分、刺したいものをマットに置いて作業されることをお勧めしています。針は必ず下向きに、つまりマットに向けて刺すようにします。
その際、左手で作品を押さえて作業しますが、添えてやる左手の爪を常に針に向けているようにすると、万が一針先が滑っても爪に当たるので比較的安全です。

早くくっついてもらおうと、強く深く刺しても繊維は絡まってくれません。強く刺すこと で却って針が繊維を押し広げ、針穴が目立ってしまいます。

最初はゆっくり軽く、少し深めにさしてやり、形をおおまかに作ります。形が出来れば、リズミカルに浅く刺して表面を固めていきます。リズミカルにさすこと で、面に対して平均的に針が刺さり、表面がきれいに仕上がります。

針は折れやすくできています。針の進行方向にまっすぐさして、まっすぐに抜くようにしましょう。手首のスナップをきかせて差し込むと、針の真ん中を中心に針が回転するような動きになり、折れる元になります。

抉りたいときには、別のもので。

針には細かい返しがついています。小さな傷ですが、必ず消毒してください。